【開催報告】いざという時に知っておきたい「幼児安全法」セミナー

 6月25日、金沢市教育プラザ富樫にて未就学児のお子さんとママを対象とした「いざという時に知っておきたい幼児安全法セミナー」が開催され、12組の親子が参加しました。

 このイベントは「協働のまちづくりチャレンジ事業」として、「ひと・くらし・絆」づくりをテーマに、石川シングルマザーの会と、金沢市危機管理課の協力により「生きる力を育てる自立支援事業」として開催されているものです。

 今年度第1回となる今回は、赤十字幼児安全法指導員・森岡誠人さんを講師にお迎えし、いざという時のために知っておきたい知識や対処法、救急法について学びました。

子どもの事故予防・応急手当

 まずは、子どもの事故予防・応急手当について、森岡さんから、サインを見逃さないための観察のポイントや、身近で起こりやすい事故とその予防についてのお話がありました。

 子どもの事故や病気の予防のために重要なのは、子どもの保護者など身近にいる大人が、普段との違いに気づくことだと森岡さんは言います。「子どもの病気の第一発見者になるのは、お家の人。子どもはなかなか自分の病状を訴えてくれないので、普段の様子との違いに気づくことが大事です」。

「機嫌が悪い」「食欲がない」「眠らない」など、普段とは違う子どもの様子に気づき、おかしい、と思ったら表情、顔色、食欲、睡眠の様子を注視すること。そのうえで顔色が悪い、ぐったりしている、息づかいがあらい…など心配な症状がある場合には急いで病院へ――といった判断のポイントも教えていただきました。

 次に、子どもに起こりやすい事故についての話がありました。1960年から、子どもの死亡原因の1位は「不慮の事故」だそうです。そして、子どもの事故のほとんどは、大人によって予防、回避ができるとのこと。子どもの予防策をたてるのは大人の大事な役割でもあるのです。

「子どもは、大人が思う以上に危ないことをやるもの。大人が、子どもの特性を知るだけでも、事故の予防策になります」

 子どもが事故に遭いやすい理由にはいろいろありますが、頭の割合が成人に比べて大きく、バランスを崩しやすく、転倒や転落、溺水などにつながることがあるそうです。

 また筋力が不十分なため、巧みな身体の操作が難しく、外傷につながったり、危険への理解が浅かったり予知ができない、また好奇心旺盛であることから、やけど、誤飲、交通事故などにつながることもあるといいます。

 そうした子どもの特性や事故が起こりやすい背景を知っておくこと、その上で、家の中の環境を整備する、日常生活の中で大人が行動のお手本を示すなどの安全教育、また子どもの運動機能を高める遊びを行うことも、事故予防につながるとのことです。

「今は例えば家具を固定する道具や危ない場所への侵入を防ぐゲートなど、便利グッズもいろいろ売られているので、そういうものを使ったり、子どもの特性を理解し、予防してほしいですね」(森岡さん)

<資料:日本赤十字社石川県支部提供>

乳幼児の一次救命処置.pdf

子どもの事故予防・応急手当.pdf

プール監視短期講習プリント(生徒編).pdf

プール監視短期講習プリント(監視編).pdf

子どもの応急手当

 休憩を挟み、次は実技をまじえながら「子どもの応急手当」を学びます。

 病気や事故などで心停止になった人を救うには、救急車が到着するまでの間に、近くに居合わせた人が速やかに心肺蘇生などの応急手当を行う必要があります。

 森岡さんによると、金沢市の場合、電話で「119番」通報してから、救急車が現場に到着するまでの時間の平均は7~8分とのこと。病気や事故などで心肺停止状態になった場合、救命措置が1分遅れる毎に救命率が10%低下するそうです。

「救急車が到着するまでの7~8分で何ができるかがとても重要になります」と森岡さん。

 子どもが倒れたとき、まず周囲の大人に求められるのは冷静な対応。「頭のスイッチを切り替えること」が必要だそうです。

 実際の心肺蘇生法について、森岡さんのデモンストレーションで胸骨圧迫と人工呼吸、AEDの使い方など、救急隊が到着するまでの間にどのようにすればよいかを学び、人形を使って親子で実践しました。

 胸骨圧迫は1分間に100~120回。子どもたちにも馴染みのある「アンパンマン」や「どんぐりころころ」の歌より少し速いリズムで、とわかりやすいアドバイスもありました。

 このほか、子どもののどに物が詰まったときの対処法や、これからの季節に注意したい熱中症の対応、さらにはハンカチやストッキング、スーパーのレジ袋など身近なものを利用した怪我の手当の方法も教えていただきました。

 和やかな雰囲気の中、お子さんたちもママたちと一緒に一生懸命に取り組んでいました。8歳と6歳のお子さんと一緒に参加したママは「参加してすごく良かった。これから水遊びの季節になるし、何かあったときにどうするのがいいか知りたいと思って参加しました。今日学んだことで、いざというときに落ち着いて対応できるかなと自信がつきました」と笑顔。お子さんたちも「楽しかった」と話してくれました。

 病気や怪我は実際には起きないことが一番ですが、いざというときに大事な子どもたちを守るためにも、応急手当の知識と技術を知っておくことは大切ですね。

女性防災士の必要性

講座の最後に金沢市危機管理課の岡本さんから防災士資格取得についての説明がありました。

災害が実際に起こった時には自分で生き残るための知恵(自助)と、地域や身近にいる同士が互いに助け合うこと(共助)が大切です。
特に災害時には女性の視点が重要でありますが、女性防災士が非常に少ないのが現状です。

防災士資格取得のための費用は自治体(県と市)から補助がでますので、
興味をお持ちの方は、ぜひ、お住まいの公民館へお問い合わせください。

<協力団体・企業>

協働のまちづくりチャレンジ事業
https://www4.city.kanazawa.lg.jp/22050/kyoudou/brainchallenge.html

金沢市危機管理課
https://www4.city.kanazawa.lg.jp/soshikikarasagasu/kikikanrika/

日本赤十字社石川県支部
http://kanazawa-rc-hosp.jp/