シンママ図鑑vol.4 隠れシングルマザー

Mさん

北陸の元気なシングルマザーにインタビューをしていく企画「シンママ図鑑」

今回は仕事大好き人間のMさんから、離婚を隠して暮らしてきた体験談をお聞きしました。

●離婚したのはいつですか?

長女が中1、長男が小4のときです。
(現在は長女が20歳、長男が高3)

●離婚当時と今の仕事は?

離婚当時は製造業で正社員をしていました。
新卒で入って10年以上務めていた会社で、育休も2回取りました。

離婚後は会社に居づらかったことと、それまで社内で担っていた仕事(ITセキュリティや品質管理)を専門的にやっていきたいと思い、1年かけて業務の引継ぎをして退職しました。

次の仕事も決めずに退職したので周りには心配されたけど、なんとなく大丈夫な気がしてて。
お金については、昼も夜も働けば何とでもなるんじゃないかなと。
そう思って、転職エージェントに副業OKの仕事探しを依頼していたら、2か月後くらいには女性起業家支援の仕事に就くことができて、その後元々やりたかったITコンサル業も軌道に乗り、今は複業で忙しいけど充実しています。

●離婚したときの家探しはどうしましたか?

結婚していたときに買った家にそのまま住んでます。自分でローンを払って。
実家が近いので母が手伝いに来てくれて助かってます。

●一番つらかった時期は?

離婚してから3年間くらいかな。

離婚するときは、これから世の中に後ろ指を指されながら生きていくんだと思ってました。

特に下の息子がショックを受けていて、離婚のことを周りに知られたくないと言っていたので、名前も変えず、離婚してないことにして隠していました。
近所や習い事のママ友にも、夫は単身赴任と言ってごまかしていました。

このときは、息子の精神的なケアをしながら、習い事の送り迎えと試合の付き添いで毎週土日が潰れていました。つい外のベンチで寝ちゃったりして「Mさんはいつも寝てるね」なんて言われてました。

娘のほうはとてもしっかりしていて、前世は私があの子の子どもだったのかなと思っちゃうくらい頼りにしてます。離婚についても娘のほうは隠すつもりがなかったようで、あっけらかんと話してしまうのを口止めするのが大変でした。

●いつから楽になった?

息子が高校生になって、もう離婚についてこだわらなくなってきてからは楽になりました。

外では見せないようにしていたけど、実は隠し続けていることが心の闇になっていたと思います。今はそれが吹っ切れた感じです。

私は元々、仕事が好きなんですよね。
だから、会社勤めも嫁もやめたことで解放された気がしています。

以前は仕事をセーブして、子どものために一緒にいてあげないと、いいお母さんでいないと、という思い込みに縛られていたけど、今は「お母さんが稼いでくるから!」と、思いっきり働いてます。

会社にいたときは良妻賢母に憧れてたし、離婚してる人が周りにいなかったから、退職するときは私は人生の脱落者だと思っていました。
でも、女性起業家支援の仕事をしているうちに考え方が変わっていきました。

女性起業家ってシングルマザー率がとても高いんです。
やるしかないから起業するのか、起業したから新しい人生をスタートできたのか、理由は分からないけど、私は多くのシングルマザー起業家から元気をもらってきました。

離婚=脱落だと思ってたけど、全然そんなことなくて。
みんな前向きで、むしろ元気だし、私が知らなかっただけで、シングルマザーはそんなにマイナーな人種じゃないんだってことを知りました。

そういう世界も全然ある。

今は仕事が楽しくて仕方ないです。
もうすぐ息子も手を離れるし、さらに自由になるのが楽しみだけど、さみしくなるのかな?どうなんでしょうね。

●これからシングルマザーになる人に一言お願いします

いろいろ悩むと思うけど、なんとかなるもんだよ。

シングルマザーってそんなに珍しくないんだよ。

シングルマザーだからもらえるお金とか、サポートしてくれるものがたくさんあるので、情報収集をしっかりして、うまく拾っていってほしいです。
うちも大学は奨学金で行かせることができてます。

自分が選んだ道が正しかったと思い込むことが大事!
悩んで何年も過ごしてしまうと、その時間がもったいない!

私はそう思って行動しています。

—–

私(おばた)はシングルマザーになったときにすぐ「シングルマザーになりました!」って開き直って公言してきたので、その部分は気楽だったけど、もし息子が嫌がったらきっと隠してきたと思います。その心労は想像に絶します。

誰も悪くないし、ただ知らないだけなんですよね。

だから、これからも、たくさんのシングルマザーのリアルを伝えていきたいと改めて思いました。

シングルマザーであることを隠す必要がない社会になっていったらいいですね。

インタビュアー:おばた みなこ